ホーム | 入試問題が解ける理由その1

教科書の基本事項をマスターするだけで入試問題が解ける?

算数・理科・数学・物理・化学・生物を強化する個別指導塾・プロ家庭教師の小鮒塾(こぶなじゅく)が掲げている東大式勉強法その3『 教科書に記載されている基本事項を全てマスターする』を実践することで、『 いつの間にか入試問題が解けるようになっている』のです。

ここで、「基本事項をマスターするだけで本当に入試問題が解けるのだろうか?」という疑問が生じるかもしれません。

こちらのページでは、基本事項をマスターするだけで入試問題が解けてしまう一例として、2023年度共通テストの化学第1問を用いてご説明いたします。


 

 

 

まずは問1です。基本事項が分かっていれば正解にたどり着けることが分かります。


 

有機化学の知識があれば、①は『アルデヒド基CHOがあり、CとOは二重結合』という基本事項から間違いであり、②は『アセチレンでCとCは三重結合』という基本事項から間違いであると分かります。

③は『Brがハロゲンで価電子が7個(不対電子が1個)であるため、Brどおしが電子1個ずつ出し合って結合して安定する(単結合となる)』という基本事項から正しいと分かります。

④は『金属元素(Ba)と非金属元素(Cl)からできているものはイオン結合』という基本事項から間違いと分かります。

答え ③


 

続いて問2です。コロイドの基本知識に関する問題です。こちらも基本事項が分かっていれば正解にたどり着けます。


 

『ゾルは液体、ゲルは固体、キセロゲルはゲルを乾燥させたもの』という基本事項を押さえていれば、「(a)流動性を失ったかたまり」は固体(ゲル)であり、「(b)乾燥した寒天」はキセロゲルと判断でき、⑥が正しいと分かります。

答え ⑥


 

続いて問3です。苦手な人が多い気体の計算問題も例外なく、基本事項を押さえていれば簡単に解けます。


 

『水蒸気を含む空気』『全圧1.0×10 5 Pa』の言葉に惑わされてはいけません。液体の水の物質量を求める問題であり、水に着目すれば良いのです。

圧縮時は温度一定であることから『ボイルの法則:圧力×体積は一定』という基本事項から、圧縮時の水の分圧は 3.0×10 3 Pa × 3 = 9.0×10 3 Pa になるはずです(体積1/3倍なら圧力は3倍)。

ところが今回は飽和して水の分圧は 3.6×10 3 Pa になるということなので、9.0×10 3 Pa と 3.6×10 3 Pa の差の 5.4×10 3 Pa 分が液体の水になります(蒸気圧の基本的な考え方)。

よって液体の水は、5.4×10 3 Pa, 8.3 L, 300 K に相当する気体になるため(蒸気圧の基本的な考え方)、気体の状態方程式を用いて 5.4×10 3 Pa × 8.3 L = n モル × 気体定数 8.3×10 3 × 300 K より、 n = 0.018 となり、②が答えと分かります

答え ②


 

続いて問4aです。こちらも結晶格子の基本事項を押さえていれば難なく解けます。


 

配位数の数え方は結晶格子問題の基本中の基本になります。1つの粒子に着目して、その粒子の一番近くにある粒子の数が配位数となります。図を見て数えると6個となり、②が答えと分かります。

単位格子の体積については、単位格子の断面図から陽イオンと陰イオンが接しているところに着目すると、単位格子の1辺の長さは 2(R S + r Ca) と分かります(結晶格子の基本事項)。よって体積は、3乗して 8(R S + r Ca) 3 となり、①が答えと分かります。

答え ア② イ①


 

続いて問4bです。


 

結晶を入れる前が 40 cm 3、結晶を入れた後が 55 cm 3 であるため、結晶の体積は 55 cm 3 - 40 cm 3 = 15 cm 3 となります。

『質量 ÷ 式量 = モル』という基本事項より、CaS 40 g をモルに直すと、 40 g ÷ CaS式量 72 = CaS 5/9 モルとなります。『1モルが 6.0×10 23 個』という基本事項より、CaS 5/9 モルは、5/9 モル × 6.0×10 23 個 = CaS 10/3 ×10 23 個となります。

問4の最初の問題文に『単位格子中にCaイオンとSイオンが4個ずつ入っている』と書かれているため、結晶中の単位格子の数は、結晶中のCaSの数 10/3 ×10 23 ÷ 単位格子中のCaSの数 4 個 = 5/6 ×10 23 個となります。簡単な算数の問題と思えば良いです。

よって単位格子の体積は、結晶の体積 15 cm 3 ÷ 結晶中の単位格子の数 5/6 ×10 23 個 = 1.8×10 -22 cm 3 で、②が答えと分かります。これも簡単な算数の問題と思えば良いです。

答え ②


 

最後の問4cです。限界半径比の問題です。限界半径比は少し難易度の高い内容ですが、心配いりません。


 

問題文中に『図2に示す単位格子の断面の対角線(破線)上で大きいイオンどおしが接するようになる』とヒントが書かれています。中学数学(三平方の定理)を少し使えば、問4aで求めた単位格子の1辺の長さ 2(R S + r Ca) も使うことで、2(R S + r Ca) × √2 = 4 R Sとなり、R S = (√2 + 1)r Ca と導くことができ、ウの答えが②でエの答えが①と分かります。

この問題のように難しそうに見えても、結局は基本的なことを理解していれば解けるのです。

答え ウ② エ①


 

以上のように、基本事項をマスターしていれば2023年共通テスト化学の第1問は満点が取れる、ということが分かります。基本事項が分かっているだけで、100点満点のうち20点が取れてしまうのです。もちろん第2問以降も基本事項をマスターしていれば満点が取れます(第2問以降の解説は割愛いたします)。

これが、小鮒塾(こぶなじゅく)が掲げる東大式勉強法その3『教科書に記載されている基本事項を全てマスターする』の威力です。

2015年度センター試験の化学も一例としてアップしていますので、『 入試問題が解ける理由その2』をご参考にしていただければと思います。

オフィシャルブログでは、2014年度センター試験の化学を一例としてアップしていますので、『 福岡市の個別指導講師・プロ家庭教師が公開する理系科目の入試問題解き方のコツ』もご参考にしていただければと思います。